2002年10月 奈良への旅 (1)
今回の旅の第一の目的は13日(日)の夜に藤原宮跡で開催される「ムーンライト IN 藤原京」というイベントを観覧することでした。また奈良般若寺のコスモスがちょうど見頃の季節なのでそちらも是非訪問することにしました。
更に大和3山の全てに登頂すること、先日東京で開催された「飛鳥・藤原京展」で取り上げられた「吉備池廃寺」「雷丘東方遺跡」「飛鳥池工房跡」などいくつかの史跡を自分の目で見ることを目標にしました。
行程の概要
- 1日目:朝東京発、午後奈良着。般若寺、興福寺拝観。(宿泊地:橿原市)
- 2日目:耳成山、香具山登頂して吉備池廃寺見学。談山神社門前で昼食後参拝。飛鳥資料館見学と雷丘周辺探索のあと甘樫丘に登る。いったん宿に戻って夕食の後ムーンライト会場へ。(宿泊地:橿原市)
- 3日目:昨日残した畝傍山に登頂してから石舞台へ。古墳見学後「里山クラブ」ボランティアの案内するウオーキングツアー参加。「めんどや」で昼食後「飛鳥池工房跡」に建設された万葉文化館見学。夕刻京都発で東京へ。
詳細な行動記録
1日目 10月12日(土)
般若寺
般若寺コスモスと十三重石塔
近鉄奈良駅到着後、コインロッカーに荷物を収納してから奈良交通バスで般若寺へ向かいました。事前の情報通り、般若寺のコスモスはまさに見頃でした。寺のシンボル的な存在の十三重の石塔、そして境内に並ぶ石仏達が一面のコスモス畑の中で柔らかな秋の日差しを受けて落ち着いた雰囲気を出していました。コスモス畑の先に見える楼門(鎌倉時代築・国宝)も絵になるのですが日射しが低くなって完全に逆光でした。さすがにコスモスの見頃ということでさほど広くない境内にカメラ、それも望遠レンズ付きの一眼レフをもった人たちが多数訪れておりましたが、じっくりタイミングを見計らえばほとんど人の写っていない写真を撮ることもできました。本堂に上がり厨子に納められた「文殊菩薩」像にお参りして、売店で水彩画の絵はがきを求めました。
般若寺のコスモスの写真を
別ページの特集記事として製作しました。画質高めの画像を使用していますので、やや重いかもしれませんのでご了承ください。
興福寺国宝特別拝観
般若寺拝観後、新薬師寺に行くつもりで、奈良駅行きのバスを県庁前で下車しました。降りると目の前に「興福寺国宝特別拝観」の案内看板が目に止まりました。時刻は3時半、特別拝観は5時までということなので1時間半あります。ちょっと忙しくなりそうでしたが、国宝館に1時間、南円堂と仮中金堂で30分という配分で拝観することにしました。国宝館前で拝観券を求め、まず国宝館を見学します。興福寺は境内を何度か通っているのに、国宝館に入場するのは初めてです。時間が限られているのでまず駆け足で一通り見て回り、展示物の量を把握します。だいたい1時間で一通り見られそうな雰囲気でしたので、もう一巡じっくり説明を読みながら展示物を見学します。あれこれ見ているうちにあっという間に時計は4時半を回ってしまいました。
興福寺南円堂の夕景
普段は見ることが出来ない不空絹索観音が特別に開帳されていた。
ちょっぴり未練を残して国宝館を出、次は南円堂へ向かいます。南円堂は「西国三十三ヶ所」の巡礼地になっており、普段は堂内に入ることが出来ないものの、年中参拝者の絶えないところと聞きます。国宝館から向かう途中も巡礼服姿の一団とすれ違いました。堂内には「不空絹索観音菩薩」が安置されています。手持ちのガイドブックでは「開扉は10月17日1日限り」とありましたが、特別拝観の期間中通して堂内に入れるようになっていました。南円堂の観音像に参拝後次は仮金堂に向かいます。江戸末期に建てられた中金堂がもともと仮設で、痛みが激しいため、本尊の釈迦如来像、薬王・薬上菩薩像、四天王像を旧講堂跡に建てた仮金堂にお移ししています。堂内の説明書きでは薬師寺の旧金堂を移築した、と有ったように思います。新金堂は平城京1300年の2010年に落慶の予定とのことです。時間まで堂内で仏像達と対面してくつろぎます。外国人数名のグループが興味深げに仏像を眺めていました。秋の陽はつるべ落としと言いますが、4時半を過ぎてあたりはだいぶ暗くなっていました。
2日目 10月13日(日)
耳成山・香久山
今日は宿で貸自転車を借りて行動することにします。大和3山登頂は耳成山からです。耳成山の次は香久山(香具山)に向かいます。
三山登頂については別途記事を作成しました。山頂まで往復してからしばらく麓の天香山神社境内を散策します。三山のうち西側にある畝傍山は明日に回して、東寄りに進路を取ります。
吉備池
吉備池西南部。中央右寄り対岸に塔があった。
香久山を後にして吉備池に向かいます。最近の調査で、かなり大きな規模の寺が有った事が判明した場所です。地図を頼りにこのあたりかな、と言うところで舗装されていない農道に入ります。ほどなく右手に築堤が見えてきてどうやら池があるらしいことが判ります。一旦池の北側に回り込んで木工所の脇を南下すると池の畔に出ます。ここは瓦が多く出土することから、かつては瓦工場ではないかと思われていたようですが、この数年の調査で「幻のおおでら」といわれていた「百済大寺」の場所であった可能性が高いことが判明しました。「飛鳥・藤原京展」の図録に掲載されていた場所を確認して写真を撮ります。図録で見覚えのあった隣接の民家も確認出来ました。1300年余前にはこの場所に25階建てのビルに相当する(高さおおよそ70m?)ような巨大な九重塔と壮大な伽藍を有する大寺が有ったということを想像するだけでも不思議な気分になります。「吉備池」については
別途記事を作成しました。
談山神社へ
吉備池の次は談山神社を目指します。途中お祭りが行われており、子どもたちのかつぐ御輿とすれ違ったりしながらメスリ山古墳の近くを通って倉橋池入口の交差点に出ます。バス停で時刻を調べると1時間に一本のバスはあと50分ほど来ないことが判明します。この先かなり登るようなので変速機無しの「ママちゃり」でどこまで上がれるか不安でしたが、とにかく行けるところまで行くことにします。結局、坂のすこし緩いところだけ自転車に乗って、ほとんどの区間は自転車を押し上げて多武峰のバス停まで来てしまいました。ここに来てみて宿の人が「自転車で談山神社に行くのはやめた方が良い」と言った意味が判りました。宿で借りられるのはこの「ママちゃり」だけでしたが、この自転車でこの急坂を上がりきるのは、よほどの脚力でないと不可能です。後日判明したことですが、近鉄桜井駅のレンタサイクルでは若干の割増料金でMTBタイプの自転車が借りられるとのことです。談山神社まで行くつもりの方はこちらを強くおすすめします。(笑)
多武峰を過ぎて間もなく談山神社東大門があります。神社まではまだ少し登らねばならないようですが、門の前にスペースがあって自動車が数台駐車していましたので、その近くにじゃまにならないよう自転車を置いてこの先を歩くことにします。
談山神社
この先は徒歩で旧参道を上がります。今は新しい自動車道路が出来て通行する車も少なくなった道を歩くと、道路脇に「重要文化財」と表示のある石灯籠が低い木柵の中におかれていてちょっと驚きました。さらに数分歩くと門前の土産物店が並ぶ賑やかなところに出ます。紅葉の見頃にはまだかなり早いようですが、枝先がわずかに色づき始めている木もあります。ここまでたっぷり運動して空腹になっていたので、境内に入る前に昼食にします。店頭に柿の葉寿司を陳列しており、奥に喫茶カウンターのある店が目に付いたので、中で食べられるか尋ねると「どうぞ」という返事。席について買い求めたばかりの柿の葉寿司の包みを解いていると、店の人がお茶を運んで来てくれます。
さらに土産物店をのぞきながら歩くとすぐに入山口になります。ここで入山料500円を支払い拝観券とパンフレットを受け取って本殿に続く階段を登ります。
飛鳥資料館への道
談山神社から再び自転車に乗り、今度は山道を降り、途中で崇峻天皇陵を見学して、飛鳥資料館へ向かいます。地図を見ると崇峻陵から少しくだったところに飛鳥方面への分岐があるので、そこを左折しますが、これが大きな失敗でした。崇峻陵から飛鳥までは下り一方だと思っていたのですが、途中から道が次第に登り坂になり、ついに自転車を押して歩かねばならない状況になりました。改めて地図をよく見ると、この道は尾根を1つ越えて飛鳥の南東部に至るルートであることが判明しました。ここで引き返すのも悔しいのでしばらく自転車を押して尾根筋に至り、そこからは快調に坂道を下り飛鳥寺の近くに出ます。せっかく等高線入りの地形図を持参したのによく確かめずにルートを選んで、要らない苦労をしてしまいました。しかし、尾根を越えてから飛鳥に降りる道沿いには、稲穂が美しく実った棚田の風景を観ることが出来ましたのでこれも貴重な経験だったことにしましょう。(以下執筆中)
飛鳥資料館見学
飛鳥資料館の「表札」
飛鳥資料館、正式名称はご覧の通りです。
甘樫の丘
甘樫丘から飛鳥寺方面を見る。
資料館の次は甘樫の丘へ向かいます。途中、雷丘東方遺跡の場所を確認します。ここも「飛鳥・藤原京」展で取り上げられた場所で、「小治田宮」と墨書された土器が出土したところです。(ただし出土した状況から、年代については「小墾(治)田宮」に宮殿が置かれていた時期とは一致しないと見られているようです。)甘樫の丘周辺はかつて蘇我氏一族が居住していた地域だったとのことです。屋敷の焼け跡が丘の中腹から発見され、「大化の改新(乙巳の変)」の際に中臣鎌足に蘇我入鹿が討たれたのを知った蘇我蝦夷が火を放って炎上した、「蘇我氏の終焉の地」であることがほぼ確実視されているようです。丘の北端の豊浦展望台からは東側の飛鳥寺、万葉文化館(飛鳥池工房跡)方面、北側の耳成山方面、そして西側の橿原神宮方面の3方向を見回すことが出来ます。今日は「ムーンライト・IN・藤原京」ツアーのため、5時から夕食ということなので再び自転車に乗り急ぎ宿に戻ることにします。
ムーンライト・IN・藤原京
夕食後に宿の人の案内で「ムーンライト・IN・藤原京」会場に向かいます。会場までは歩いて30分弱でした。しばらくは皆で集まってステージのイベントを見物し、そのまま解散ということにして各自で自由に見物します。
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