朝6時過ぎ名古屋に着き、「3・3・SUNフリーきっぷ ワイド」を購入して近鉄の急行で伊勢中川経由奈良に向かいます。途中で各駅停車に乗換え、室生寺口大野で下車します。田舎の小さな駅ですが、駅前に奈良交通バスの操車場と事務所があります。
メインの目的地は室生寺ですが、室生寺方面行きのバスの発車まで時間があるのでその間に駅から歩いてゆける大野寺を拝観します。山門には人がおらず、拝観料を箱に入れて山内に入ります。こぢんまりしたお寺ですが川の対岸に大きな磨崖仏があり、それを拝むためのお堂があります。お堂といっても「枠」だけで前後の壁がありません。正面から「枠」越しに対岸の磨崖仏を拝むわけです。
大野寺前からバスで室生寺に向かいます。険しい山に造られ、密教の修行の場として知られた寺です。山門を入り金堂を過ぎて階段を上ると有名な五重塔です。この塔は1998年に台風による倒木の直撃で大きな打撃を受けましたが、すっかり修復されていました。帰りのバスまであまり時間が無いので急ぎ足で奥の院まで登ります。奥の院に至る道は杉の巨木がうっそうと茂り、山岳修行の場に相応しい雰囲気を出しています。奥の院の前庭を掃除している僧に会釈して参拝します。本当はもっとゆっくりしていたかったのですが、帰りのバスの時間が迫っているので参拝後慌ただしく来た道を降り、時計と相談しながら金堂の仏様を拝んで山門を出ます。門前の商店の前を少し急ぎ足でなんとかバスの時刻に間に合ってバス停に着きます。
程なくやってきたバスで室生寺口大野に戻り、再び近鉄で大和八木へ向かいます。八木で橿原神宮行きに乗り換えます。橿原神宮は京都方面から来る線と大阪からの線が接続する駅です。吉野方面の電車はすべて大阪方面から来るもので、京都、奈良方面からの利用者はこの駅で乗換が必要です。乗換の間合いを利用して構内の食堂で昼食にします。
室生寺公式サイト http://www.murouji.or.jp/
昼食後再び電車に乗り吉野駅へ。駅前から吉野山に登る道を探したのですが、つづれ折りの自動車道しか見つかりませんでした。車道を延々と歩くのも嫌だったのでロープウエイで山上駅まで行くことにしました。ロープウエイを降りてから土産物屋の並ぶ道を歩いて蔵王堂を拝観します。蔵王堂の正式の名前は「金峯山修験本宗総本山 金峯山寺(きんぷせんじ)」で、「寺」という字が付いていますが仏教の寺院ではなく修験道の本山です。
金峯山寺 http://www.kinpusen.or.jp/
東南院というお寺の庭を見てから金峰神社下まで歩きます。そろそろ歩き疲れてきたので金峰神社は行かず山を下りる事にします。山上はロープウエイ会社の運行するバスの路線が通っているのですが、冬の間は全て運休で、全て歩くしかありませんでした。山上駅から吉野駅方面に降りる歩道を発見しましたが、往復券を買ってしまっていたのでロープウエイで下山します。電車は30分おきなので発車までしばし駅前の土産物店などを覗いて過ごします。天武天皇が隠遁生活を送った「宮滝」にも興味があり、是非行ってみたいと思っていますが、残念ながら時間の都合で今回は割愛しました。
再び近鉄電車で奈良方面に向かいますが、夕暮れまでまだ少し時間があるので飛鳥駅で下車します。飛鳥寺などがある明日香村中心部まで行くには時間が足りないので、徒歩で行ける高松塚古墳を見学することにします。閉館時刻まで壁画館内の復元壁画などの展示物を見学し、その後しばらく古墳周囲を散策しました。
2月になって年の初め頃と比べるとだいぶ日が長くなった上、関西は関東よりも西にあるためいくらか日の暮れるのが遅いこともあって暗くなるまではまだ少し時間があります。古墳の周辺は歴史公園として整備されていますが、周辺は田畑で、農家の作業小屋などが点々とみられます。遺跡公園の整備で農地を取り上げられた農家の不満らしき物が書かれた看板が目に入りました。高松塚に限らず飛鳥周辺では色々な場所で遺跡や文化財が見つかり、そこに住んでいる人の生活が制限されてしまうため、行政も住民もいろいろ苦労が多いと聞いています。無人販売所でネット入りのみかんを購入してから飛鳥駅に戻り、近鉄で新大宮まで向かいます。この日は駅前のスーパーホテルに宿泊します。宿に帰って食べた明日香のみかん、とても甘くて美味でした。